COFFEE IN RESIDENCE
築90年の木造2階建て。商店街の一角にあるこの建物は長らくこの街を見てきた。
昔ながらの作りは1階がお店、2階が住居で、1階は両親が営むクリーニング店舗を閉店させ息子が引き継ぎ、事業は時代にマッチさせたCoffeeShopとして生まれ変わらせた。
2階は商店街特有の窓が少ないという暗さがあったが、天井をスケルトン天井とし、空間容積を増やしたことで旧来の暗さを解消した。先人が尽力した建築的な立派な小屋組みは90年間屋根裏に隠れていたが丸太梁や小屋組みを見事に表し、家族と共に空間に寄り添うことで家族も先人の恩恵を感じる。
2階の住宅部分を先に工事し、その際に出た階段の踏み板や畳の下板の廃材を“古材”として扱い、1階店舗の外壁や商品棚に利用した。そうした事で90年の物語を紡ぐ。
CoffeeShopの利用客はその物語を聞き、感じ、新しくも懐かしい感覚になじむ。Shopの空間はオーナーが各地から集めてきたアンティークを入口ドアの取手や外部照明に利用し、この商店街のアイコンにもなっている。商店街に佇んでいた築90年の古家屋は見事に継承され、“今の時代”を生抜くアイコン的存在となった。
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設計:タムタムデザイン
施工:クラフトワークス
撮影:カシャッと舎 萩康博