黒川紀章への手紙(タムタムデザイン+ひまわり)
リノベーション・オブ・ザ・イヤー2018
総合グランプリ 受賞!
本物件は1999年に黒川紀章が設計した「門司港レトロハイマート」が舞台である。
再販リノベーションとして1住戸のリノベーション設計をする事になったが、同業の巨匠が手がけた建築として、現調からもリスペクトから入る。黒川紀章の設計思考を読み解くべく周囲を探索し、環境を読み解き、またそこにこれからのあるべき姿を見出した上で、空間を通し黒川紀章への問いかけを行うようなエスキスを繰り返した。
関門海峡を目の前にした区画はまさしく絶景である。ただし絶景の区画を建物内に多く取るがあまり海側の間口が狭く、旧間取りでは絶景を堪能できる部屋がリビングのみに限られていた。それは黒川紀章が出した一つの答えだと思う。
私はそこに“関門海峡への道”というコンセプトを産み出し、玄関から、キッチンから、リビングから、全ての空間から絶景が見渡せるように腰壁上部を全てガラス張りとした。
朝焼けや夕焼け、紫色に染まる関門海峡の空は住居内のガラス全てに反射を繰り返し、玄関まで趣きを運ぶ。玄関土間は区画の中央まで延び、足元は間接照明でアプローチを表し、趣きの発信となる海側の開口部屋まで案内してくれる。
「黒川紀章先生、20年後のローカル建築家が出した“関門海峡への道”というリノベーション問答。この答えはいかがでしょか?」
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プロデュース:OLDGEAR
設計:タムタムデザイン
施工:ヴィリオ
撮影:uruphoto 吉永真利江